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28週で生まれた娘と歩んだ日々 家族と医療者が紡いだ歩み

  • 執筆者の写真: HEIWA SOTOMURA
    HEIWA SOTOMURA
  • 10月28日
  • 読了時間: 6分

今回は、妊娠中に転院・入院を経験し、妊娠28週で出産された石川さんと、同院でサポートした看護師・医療スタッフのお話です。石川さんは安定した妊娠経過から突然の大量出血で緊急転院となり、帝王切開による早産を経験しました。


入院中から出産、赤ちゃんとの対面、退院まで、家族や医療スタッフとともに歩んだ道のりをご紹介します。


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-本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、妊娠中の様子を聞かせてください。


石川さん:妊娠中は、別のクリニックに通院していました。特に何事もなく、健診では常に順調でした。ただ仕事は、責任ある立場だったので、忙しく働いていました。



-妊娠中の転院はどのように決まったのですか?


石川さん:妊娠27週にクリニックで受けた健診では何事もなかったのですが、その2日後に少量の出血がありました。 通院していたクリニックで診ていただいたんですけれど、問題がないということで、何もせずそのまま帰りました。さらに2日後ぐらいの早朝に、シーツが真っ赤になるぐらいの大量出血がありました。

朝一番に診察に行ったら、「子宮経管が短くなっていますが、今出産となっても当院では対応ができないので、北大病院に転院していただくことになります」と言われました。それまでの健診では、順調だったので、すごくびっくりしました。北大病院に転院して、その日のうちに入院となりました。



-初診ですぐに入院となったのはどのような理由でしたか。


羊水が減っていたのと、出血があり、子宮口が開いていました。「慢性早剥羊水過少症候群」という状態で、胎盤とか羊膜が脆くなったため出血していて、 危険な状態でした。



-実際の出産はどのタイミングで決まったのですか?


石川さん:入院後は常に点滴して、絶対安静という形で過ごしてました。入院して5 日目に陣痛みたいな腹痛が始まって、その日の夜中に帝王切開することになりました。



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-突然、出産が決まった際の心境はどんな感じでしたか?


石川さん:入院してからは色々調べて、 長くお腹にいられることに越したことはないと思っていました。帝王切開が決まったとき、 28 週で産むことになるのか……と正直思いました。でも、先生方の判断で、赤ちゃんにとって最善という判断だったので、不安や恐怖感は、あまりなかったです。

実際に手術が始まる際にも、先生や看護師さんが、常に勇気づけてくださいましたし、助産師さんもナーバスにならないように配慮してくださり、 皆さんがそういった環境にしてくださったので、恐怖心とかもありませんでした。



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-産んだ瞬間はどんな気持ちでしたか?


石川さん:帝王切開中に 小さい鳴き声が聞こえてきて、 あ、泣いてくれたなと思いました。ただすぐ、 赤ちゃんの治療をしなくてはいけなかったので、手術中に私の横を通る時に一瞬会わせてもらいました。その時パッと目を開いてくれて、目があったっていうのはすごく覚えてます。 小さいと思いましたが頑張ってほしい、というのが最初の感想でした。


-その後、いつ赤ちゃんに会えたんですか?


石川さん:帝王切開の次の日にNICUで会いました。保育器に入っていて、小さくて、たくさんの管やセンサーなどをつけていて、でもすごく頑張ってくれていました。スタッフの皆さんが、懸命に治療をしてくださってるんだなと感じました。



-看護師の大賀さんが赤ちゃんとお母さんに対面した時の印象はどんな感じでしたか。


大賀さん:生まれて数日経ってから会いましたが、本当に可愛いっていう感じでした。私自身28週の小さな赤ちゃんを受け持つのが初めてだったので、楽しみよりも気負っていたというか、不安というか、ちゃんとできるかなみたいな気持ちはありましたね。


お母さんと初めてお話しした時は、 お母さんが泣いていらっしゃいました。まだ気持ちの整理がついてなさそうだったので、そこで私もすごく泣けてきたような記憶がありますね。そして、 自分のことを責めていて、 「私が早く産んでしまった」っていうようなお話をされていたので、本当にそんなことないんだよって、お伝えしていました。でもやっぱりお母さんは色々不安なんだろうなっていうのは、話をしていて感じましたね。


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-大賀さんは、入院中に、特に印象に残ってることはありますか 


大賀さん:あります。 お父さんとお母さんが初めて花ちゃん(仮名)をお風呂に入れる時に立ち会えたことです。お風呂に入れてる時も花ちゃんがニコニコだったのが印象的でした。


あとは、ひな祭りの日、飾りを持ってきてくださって、花ちゃんのお写真を一緒に撮ったりしました。初めてお泊りした日は「母子同室」といって、育児の練習のために 一泊お部屋で練習してもらうんですけど、 その時もお父さんが途中からいらして、 3ヶ月の記念の日だったのでお写真を撮ったのを覚えてます。 すごく素敵なご家族だなと。なかなか毎日お会いはできなかったんですけど、お母さんも毎日面会に来てくださっていたので、私もご家族に会うのを楽しみにしてました。



-大賀さんは、28週の小さな子を受け持つのが初めてだったと思うのですが今までとは全然違う体験でしたか


大賀さん:違う体験でしたね。今まで受け持った子は、概ね数週間で退院する子がほとんどでした。本当に花ちゃんの成長を近くで見ながら、お母さんと情報を共有するのがすごく楽しかったです。

カンガルーケアもしました。お母さんに乗せて、肌と肌で触れ合ってもらうっていうケアがあるんですけど、お父さんもやりましたよね。 できることが増えていって、お母さんと一緒に育児している感じで、私も一緒に成長させてもらいました。 なので、退院した後も、外来受診の際には、会いに行っていました。

お母さんも色んなスタッフと、コミュニケーションを取ってくださったので、みんなで成長を見守ったっていう感じです。



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-退院はいつ頃でしたか。


大賀さん:必要項目をクリア出来たら、退院できます。当初は本来の分娩予定日だったんですけど、最後の1つがなかなかクリア出来ずちょっと伸びてしまいました。



-28週だと命は繋げられるってことでしたが、出産後はどんな事伝えられましたか。


石川さん:最初の72時間が山です、と言われました。だから 72時間経過するのを指折り数えてました。



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-不安が大きかったと思いますが、どうやって乗り越えましたか。


石川さん:開き直ったところが大きいというか、何があっても、どうなっても、自分の娘には変わりないですし、これからも何か起きることもあるかもしれないですけど、生きていてくれるだけで十分です。あの時、皆さんが手を尽くしてくれて、元気になれるようにしてくださった結果なので、最後の方は結構明るく楽しめました。


-本日は貴重なお話をありがとうございました!

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